バックラッシを含む諸元計算
概要
- バックラッシを与えるには中心距離を広げる方法と、転位によって歯厚を薄くする方法があります。
- それぞれの計算方法を説明します
中心距離を広げる方法
- メニュー「ファイル」「新規作成」をクリックします
- 歯数、モジュールなどを入力します。転位係数、中心距離、法線バックラッシは「0」としておきます
- 「中心距離固定」のチェックが入っていないことを確認します
- 「単ケース計算」をクリックします
- 中心距離が計算されます
- 所定のバックラッシ量を入力します
- 計算ボタンをクリックします
- バックラッシを付けた場合の中心距離が計算されます
- バックラッシ有無の中心距離の差が、バックラッシを付けたことによるものです
- 以下の例では小歯車歯数20、大歯車歯数30、モジュール2の平歯車に法線バックラッシ0.1を設定した例です。
- 中心距離が50から50.1446に増加しており、その差0.1446が法線バックラッシ0.1を与えるために必要な移動量です。
転位による方法
- 歯数、モジュールなどを入力します。転位係数、中心距離、法線バックラッシは「0」としておきます
- 「中心距離固定」のチェックが入っていないことを確認します
- 「単ケース計算」をクリックすると、中心距離が計算されます
- 「中心距離固定」にチェックを入れます
- 所定のバックラッシ量を入力します
- 計算ボタンをクリックすると、バックラッシを付けた場合の転位係数が計算されます
- バックラッシ有無の転位係数の差が、バックラッシを付けたことによるものです
- 転位係数が0から小歯車-0.0356と大歯車-0.0356に減少しており、その和-0.0731が法線バックラッシ0.1を与えるために必要な転位量です。
転位係数の配分について
上図の例では、バックラッシ0.1のとき、「転位係数の和」が「0」から「-0.0731」になることを示しています。
- 歯車の幾何学計算から求められるのは「転位係数の和」までであって、それを小歯車・大歯車にどう分配するかは設計者に任されています
- 「転位係数の和」が-0.0731のとき、均等に分配すると小歯車-0.0365,大歯車-0.0365となります
- 通常はアンダーカットや摩耗、寿命で不利となる小歯数側の歯厚を厚くし、大歯数側を薄くするように設計します
- 「小歯数への優先配分」する場合は、メニュー「転位配分方式」から選んでください。ISO/TR4467「円筒歯車の転位方式」に基づいて配分を決めています
転位係数の任意設定
小歯車側の転位係数を任意の値に設定することができます。
- 「中心距離固定」にチェックを入れたままで、小歯車の転位係数を入力すると、転位係数の和が計算値に一致するように大歯車の転位係数が決められます
- 例えば上記で小歯車の転位係数を「0.5」にすると、大歯車の転位係数は「-0.5-0.0731=-0.5731」となります
下図は、歯形表示図の倍率を50倍にした時のものです。右の2枚は隙間(バックラッシ)が左右2か所ありますが、それぞれの幅は0.05mmで、足してバックラッシ0.1mmとなります。